英語論文を読もう―シンプルに英語を読み解くコツを「英語は3語で伝わります」の著者が伝授します!
2020年3月
春がやってくるのが待ち遠しい今日この頃です。
「コロナのために学校が閉鎖になった。」
Coronavirus fears have caused school closures.
「コロナウイルスのために多くの店でマスクや衛生グッズが品薄になっている。」
Coronavirus fears have caused many stores to run low on masks and sanitation products.
といった英文を目にしながら、春を待っているひとも多いのではないでしょうか。
そんな中ではありますが、4月になったら「英語論文を読もう!」と心に決めている研究者・エンジニアのみなさま。
また、「こんな時こそ勉強、英語論文を読みなさい!」と指導教官から指示されている学生のみなさま。
今日は「タイトル」と「アブストラクト」を素早く読み解いて、自分の読みたい英語論文を見つける方法をお伝えします。
Let’s try!
データベースWeb of Scienceでタイトル検索をして、多くの文献で引用されている論文を検索。
結果をさらに狭めて、特に高い引用を集めている論文(=高被引用文献)を入手します。
Web of Scienceを使って論文を探す(製品ログイン)
本日の検索キーワードはAlzheimer’s diseaseとしました。
タイトルがどんどん検索結果に表れます。
前からそのまま読める平易なタイトル。
真ん中あたりの英語の記号「:」はコロンといいます。
コロンは「大から詳へコロンだ」と覚えると良いのですが、大まかなことを言ってから、詳細を説明します。
サブタイトルを付けるときに使われます。
もう少しタイトルが詳しいものも、見てみましょう。
アルツハイマー病の(Alzheimer’s disease)脳のアミロイド(brain amyloid)を
Pittsburgh Compound-Bを使って
with Pittsburgh Compound-Bとありました。前置詞withは「使う」や「持つ」を表します。
どうやら「ピッツバーグ化合物B」という物質を使って、患者の脳のアミロイドという物質を画像化するようです。
タイトルは論文の内容・要点を的確に表します。良いタイトルは、簡潔かつ具体的で読み手を引きつけます。(参考『ACSスタイルガイド アメリカ化学会 論文作成の手引き』)
読んでみたいな、と興味を持てば、アブストラクトに進みましょう。
タイトル:Imaging brain amyloid in Alzheimer’s disease with Pittsburgh Compound-B
(アルツハイマー病の脳内アミロイドのピッツバーグ化合物Bによる画像化)
うーん、長い、苦しい。どうやって読めばいい?
単語が分からない!お手上げだ!と思う前に、全体像を眺めることが大切です。
そのためには、アブストラクトの構造を知りましょう。
アブストラクトは通常1つのパラグラフからなり、アブストラクトを読めば、論文全体の要点と論文がカバーする技術範囲が分かります。(参考『ACSスタイルガイド アメリカ化学会 論文作成の手引き』)
多くのアブストラクトは、イントロ→研究の内容→今回の知見と今後、という大きく3つの内容から構成されます。
はじめの1-3行: イントロ・解決したい問題【現在形】
真ん中: 研究テーマの紹介・何を行ったか【過去形】
終わり: 分かったこと・今後のこと【現在形】
各文の動詞に着目してみます。
「~を説明する」で導入。その後は、示した、増加した、観察された・・・と過去形が続きます。「何を行ったか」が記載されています。最終文は「示唆している」。今回の実験で分かったことが書かれています。
アブストラクトの構造が見えてきましたか。
さて、来る4月23日(木)のウェブセミナーでは、今回のアブストラクトをはじめとして、いくつかの論文のタイトルとアブストラクトを、リアルタイムに一緒に読んでみましょう。
●専門用語の意味をなんとなくつないで論文を読んでしまうという方
●ボキャブラリー不足で英語論文が読みづらいと感じる方
●分野が少し外れると、とたんに文の構造が分からなくなる、とお悩みの方
ウェブセミナーでは、論文タイトルを前から前から区切って読み進める方法、そしてアブストラクトの構造をとらえ、さらには、各文を前からどんどん読み進める方法をお伝えします。
「タイトル」と「アブストラクト」がこれまでよりも早く、正確に読めるようになった。研究テーマにそった論文をデータベースから効率的に判断できるようになった。そんなお声をいただけるセミナーにしたいと思います。
みなさまのご参加お待ちしています。
※ 参考文献『ACSスタイルガイド アメリカ化学会 論文作成の手引き』
Anne M. Coghill/Lorrin R. Garson編 中山裕木子訳、講談社、2019年
■□ セミナー開催概要 ■□
【開催日】 2020年4月23日(木)15:00-15:45
【講 師】 中山 裕木子氏(株式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役)
クラリベイト社 ソリューションコンサルタント(弊社サイエンス事業部)
【主 催】 クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社
【対 象】 研究者・大学院生・URA・図書館員・研究推進の方など、研究および研究支援に関わる方
(同業者はお断りする場合がございます)
【参加費】 無料(事前登録が必要です)
【お申し込み】https://discover.clarivate.com/0423-webinar
■□ 講師紹介 ■□
中山 裕木子氏
式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役
公益社団法人日本工業英語協会 理事・専任講師
著書に『会話もメールも英語は3語で伝わります』ダイヤモンド社ほか多数、訳書に『ACSスタイルガイド アメリカ化学会 論文作成の手引き』講談社がある。
【データソース】 学術文献・引用索引データベース「Web of Science® Core Collection」
Web of Scienceを使って論文を探す(製品ログイン)
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